交通整備とは?交通整理・交通誘導との違いと工事現場での頼み方

「交通整備」は警備業界にはない言葉で、正しくは「交通誘導警備」です。工事現場で車と歩行者を安全に通す仕事のことを指します。

工事の発注担当になって、はじめて「ガードマンを手配しておいて」と言われた方。「交通整備」で調べても出てくるのは求人ページばかりで、肝心のいくらかかるのか・何人頼めばいいのかにたどり着けなかったのではないでしょうか。実はこれ、探している言葉が業界で使う言葉と少しズレているせいなんです。この記事では、まず言葉の整理をしてから、費用の決まり方・人数の目安・いつまでに頼めばいいかまでを、発注する側が知りたい順に並べました。読み終わるころには、届いた見積書が妥当かどうかを自分で判断できるようになります。

現場からの一言

「交通整備をお願いしたいのですが」というお電話は、実はかなり多くいただきます。うかがうと道路工事の交通誘導のことで、言葉が違うだけというケースがほとんどですね。逆に、自社の方を立たせるつもりでいたところ、道路使用許可の条件で有資格者が必要だと分かり、慌ててご相談をいただくこともあります。呼び方は何でも構いませんので、現場の住所と車線をどう止めるかだけ先に教えていただければ、人数と資格の要否はこちらで整理できます。早めにひと声いただくのが結局いちばん早いと感じています。

— 株式会社FAIRセキュリティ 副社長・古川 友之

この記事でわかること

  • 「交通整備」「交通整理」「交通誘導」の3つが何を指していて、どこが決定的に違うのか
  • 費用が「単価×人数×日数」でどう積み上がるのか、見積書のどこを見れば妥当性を判断できるのか
  • 何人頼めばいいか・資格者が必要な現場かどうか・いつまでに手配すればいいか

「交通整備」は業界にない言葉|交通整理・交通誘導との違い

結論から言うと、「交通整備」という言い方を警備業界では使いません。工事現場で車や歩行者を誘導する仕事の正式な呼び名は「交通誘導警備業務」です。見積書や契約書に「2号警備」と書かれていたら、この仕事のことだと考えて大丈夫です。よく似た言葉に「交通整理」がありますが、こちらは警備員にはできない、まったく別の行為なんです。

まずは3つの言葉を一枚で見比べてみましょう。ここさえ押さえてしまえば、あとの話はすんなり入ってきます。

言葉 誰が行うか できること
交通整備 業界では使わない言い方。多くの場合「交通誘導警備」を指して使われている
交通整理 警察官・交通巡視員 手信号などで法的な強制力をもって車を止める・通す
交通誘導 警備員(2号警備) 合図で車や歩行者にお願いをする。止める権限はない

ちなみに、同じ仕事なのに呼び名だけがいくつもあります。交通誘導員・交通警備員・道路警備員・ガードマン――どれも現場では同じ人を指していることがほとんどです。会社によって求人票や見積書の書き方が違うだけなので、深く考えなくて大丈夫ですよ。

法律の上での位置づけも見ておきましょう。警備業法は警備業務を4種類に分けていて、そのうち「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」が2号にあたります(出典: 警備業法 第2条第1項第2号 / e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000117 )。工事現場の交通誘導も、お祭りの雑踏警備も、この2号の中に入っています。「2号警備」という呼び方はここから来ているわけです。

交通誘導警備を頼むことが多い現場

  • 道路の掘削・舗装、水道やガスの埋設など、車線を規制する工事
  • 建築現場の出入口(工事車両が歩道を横切るところ)
  • 商業施設やイベント会場の駐車場・場内の誘導
  • 電柱の工事や街路樹の剪定など、短時間でも道路にはみ出す作業
問い合わせるときに使う言葉
「交通整備をお願いしたい」でももちろん通じますが、「交通誘導警備」または「2号警備」と伝えると、人数や単価の話がそのまま最短で進みます。

交通誘導警備の費用はどう決まる?見積りの見方

費用は「1人1日あたりの単価 × 人数 × 日数」に、時間帯と資格による割増を足した形で決まります。平日の日勤(8時間)なら警備員1人あたり18,000〜25,000円があくまで一般的な目安で、夜間や休日はここに割増が乗ります。地域や現場の条件でかなり動くので、1点の金額ではなく幅で押さえておくのが実務的です。

1人1日あたりの目安と、割増が乗る条件

まず基準になるのが平日の日勤です。そこから条件ごとに増えていく、という順番で見ると分かりやすいと思います。いずれも一般的な相場の目安で、地域・時期・現場の難易度で前後します。

  • 平日・日勤(8時間):1人あたり18,000〜25,000円が目安
  • 夜間(22時〜翌5時を含む):日勤の1.25〜1.5倍が目安
  • 土日祝:平日料金に2,000〜5,000円程度上乗せされるケースが多い
  • 半日(4時間):1日料金のおおむね6〜7割。半額にはなりません
  • 資格者(検定合格者)を指定する現場:無資格の警備員より単価が高くなります

「4時間なら半額でしょう?」と思われがちなところが、実は落とし穴です。警備員1人を1つの現場に向かわせる以上、移動も準備も1日分かかります。だから短時間でも6〜7割は乗ってくる、と最初から見込んでおくと予算のズレが起きません。

国が出している単価より見積りが高いのはなぜ?

ここが見積書を読むうえで一番のポイントです。答えを先に言うと、国が公表している単価には、警備会社が負担する経費がそもそも含まれていないからです。だから見積額のほうが高くなるのは、当たり前のことなんです。

国土交通省は毎年「公共工事設計労務単価」を公表しています。令和8年3月から適用される最新の単価は、全国全職種の加重平均で25,834円。平成25年度の改定から14年連続の引き上げで、初めて25,000円を超えました。交通誘導警備員の職種別で見ると、交通誘導警備員Aが18,911円、交通誘導警備員Bが16,749円です(出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00337.html )。

大事なのはこの先です。国土交通省はこの資料の中で、労務単価には事業主が負担すべき必要経費や一般管理費は含まれていないとはっきり書いています。つまり18,911円というのは警備員本人の賃金に相当する部分で、会社の運営にかかる費用はここに入っていません。見積額が労務単価より高いのは正常で、むしろ労務単価をはっきり下回る見積りが出てきたら、そちらのほうを疑ったほうがいいくらいです。

見積書で必ず確認したい3つ
① その単価は何時間ぶんか(8時間か、実働か、超過は何円/時か)
② 交通費・駐車場代が別か込みか
③ 雨天中止や早上がりのときにいくら発生するか

お急ぎの方は、現場条件に合わせた無料見積もりの相談もご利用ください。

自社の社員に交通整理をやらせてはいけないの?

発注する側がいちばん誤解しやすいのがここです。結論を先に言うと、自社の工事現場で自社の社員が誘導すること自体は、それだけで違法になるわけではありません。ただしその社員は「交通整理」はできませんし、道路使用許可の条件を満たせないことがあり、事故が起きたときの責任は会社が正面から背負うことになります。この3つを知らないまま人を立たせるのが、いちばん危ないパターンなんです。

交通整理ができるのは警察官と交通巡視員だけ

道路交通法では、手信号などで交通整理を行えるのは警察官と交通巡視員だけと決まっています。しかも信号機が示す信号と違う意味の手信号を出せるのも、この人たちだけです(出典: 道路交通法 第6条第1項 / e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 )。法律の力で車を止められるのは警察官等に限られている、ということですね。

では現場に立っている警備員は何をしているのか。警備員が行っているのは「交通誘導」――法的な強制力のない、あくまでお願いです。ドライバーが誘導に従わなくても、それ自体で違反になるわけではありません。これは自社の社員が立った場合もまったく同じで、腕章をつけようが誘導棒を振ろうが、車を止める権限が生まれるわけではないんです。

「うちの社員を立たせればいい」が危ない3つの理由

権限が同じなら社員でもいいのでは、と思いますよね。ただ、発注する側から見ると次の3点で事情がかなり変わってきます。

  1. 道路使用許可の条件を満たせないことがある:道路で工事や作業をするときは、その場所を管轄する警察署長から道路使用許可を受ける必要があります(道路交通法 第77条第1項第1号)。そしてこの許可には、危険を防ぐために必要な条件を付けられると法律に定められていて(同条第3項)、実際に交通誘導警備員の配置が条件になることがあります。社員で足りると決め打ちしていると、許可の段階でつまずきます(出典: 道路交通法 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 )。
  2. 訓練を受けていない人が車の前に立つことになる:警備業法は、警備業者に対して警備員へ教育を行い、指導・監督することを義務づけています(警備業法 第21条第2項 / https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000117 )。合図の出し方も、車を通すか止めるかの判断も、そこで訓練されたものです。急に立たされた社員に同じ動きを求めるのは、さすがに無理があります。
  3. 事故が起きたときの体制が自社にしかない:警備会社に依頼していれば、警備業者としての体制と保険の枠組みの中で対応が進みます。自社の社員が誘導していて通行人や車が事故に遭った場合、現場を管理していた会社の責任が正面から問われることになります。
ここだけは覚えて帰ってください
「交通整理」は警察官等だけができる行為。工事現場で警備員も自社の社員もできるのは「交通誘導」までです。違うのは訓練を受けているか・許可の条件を満たせるか・事故のときに誰が体制を持っているかの3点になります。

警備員は何人頼めばいい?人数の決め方と依頼のタイミング

人数は「いくつ車線を止めるか」「出入口がいくつあるか」「歩行者がどれくらい通るか」の3つでほぼ決まります。片側交互通行なら2人、出入口が1か所だけの建築現場なら1人が出発点。そこから現場の条件で足していく、と考えると見積りの人数にも納得がいくはずです。

人数は「車線・出入口・歩行者」で決まる

代表的な現場ごとの考え方を挙げておきます。あくまで出発点なので、実際は現場の見通しや道幅で増減します。

  • 片側交互通行(規制区間の両端で交互に通す):2人が基本。区間が長くて両端からお互いが見えない場合は、無線を持たせたうえで中間にもう1人
  • 建築現場の出入口(工事車両が歩道を横切る):出入口1か所につき1人。出入口が2か所あれば2人必要です
  • 歩行者が多い場所(駅前・商店街・通学路):車の担当とは別に歩行者側にもう1人。朝夕の時間帯だけ増やす組み方もできます
  • 交差点にかかる工事:車が流入してくる方向ごとに人が要るので、3〜4人になることも珍しくありません

迷ったら、現場の図面か住所を警備会社に渡して人数を出してもらうのが早いです。日常的に扱っている会社なら、車線数と作業時間を聞いただけで必要人数はすぐ返ってきます。人数を削りすぎると道路使用許可の条件に引っかかることもあるので、自己流で減らさないほうが結局は安全です。

資格者を置かないといけない現場かどうかの見分け方

これも発注する側では判断しづらいところですよね。基準ははっきりしていて、高速自動車国道と自動車専用道路、それから道路や交通の状況をふまえて都道府県公安委員会が必要と認めた道路で交通誘導警備を行う場合には、交通誘導警備業務検定の1級または2級に合格した警備員を、業務を行う場所ごとに1人以上配置しなければならないと決まっています(出典: 警備業法 第18条 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000117 / 警備員等の検定等に関する規則 第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60400000020 )。逆に言えば、それ以外の道路では資格者の配置が法律で義務づけられているわけではありません。

問題は「うちの現場がその指定に入るのか」です。調べ方は次の3つがあります。

  • 道路使用許可を申請する所轄の警察署で確認する。申請のときに一緒に聞いてしまうのが、いちばん確実で早い方法です
  • 都道府県警察のホームページで公表されている指定路線の一覧を見る(「○○県公安委員会 交通誘導警備業務 指定」などで検索できます)
  • 依頼予定の警備会社に現場の住所を伝えて確認してもらう。指定路線を日常的に扱っている会社なら、その場で答えが返ってきます

いつまでに頼めばいい?依頼から配置までの流れ

目安は着工の2週間前までです。工事が集中しやすい秋から年度末にかけては警備員の取り合いになりやすく、直前だと人数がそろわないことがあります。日程が決まった時点で声をかけておく、くらいがちょうどいいと思ってください。流れそのものはシンプルです。

  1. 問い合わせ(現場の住所・日程・時間帯・作業内容・車線規制の有無を伝える)
  2. 見積り(人数・単価・割増の条件・中止時の扱いを確認する)
  3. 発注と契約
  4. 現場ごとの警備計画づくりと人員の配置決め
  5. 当日の配置、作業終了後の報告
急ぎのときも、まず聞いてみてください
「明日どうしても1人」というような場合でも、空きがあれば当日の手配に応じられる会社はあります。ただし選べる選択肢は確実に減りますし、資格者の指定がある現場ほど直前手配は難しくなります。日程が決まったら早めに、が結局いちばん安く早く済みます。

よくある質問

Q. 「交通整備」と「交通誘導」は同じ意味ですか?
A. ほぼ同じものを指して使われていますが、「交通整備」は業界で使う正式な言葉ではありません。工事現場で車や歩行者を誘導する仕事の正式名称は「交通誘導警備業務」で、警備業法が定める2号警備にあたります。見積りや問い合わせのときは「交通誘導警備」または「2号警備」と伝えると話が早く通ります。
Q. 交通誘導警備の料金は1人1日いくらくらいですか?
A. 平日の日勤(8時間)で1人あたり18,000〜25,000円が一般的な目安です。夜間は日勤の1.25〜1.5倍、土日祝は平日料金に2,000〜5,000円ほど上乗せされるケースが多く、資格者を配置する現場ではさらに上がります。地域や現場の条件で変わるため、幅で捉えておくのが実務的です。
Q. 自社の社員に現場で車を誘導させてもいいですか?
A. 自社の工事現場で自社の社員が誘導すること自体が、それだけで違法になるわけではありません。ただし法的な強制力のある「交通整理」は警察官等にしかできず、道路使用許可の条件として警備員の配置を求められる場合は社員では満たせません。事故時の責任も自社に残るため、道路上の作業では警備会社への依頼が基本になります。
Q. 警備員は必ず資格を持っていないといけませんか?
A. すべての現場で必要というわけではありません。高速自動車国道と自動車専用道路、そして都道府県公安委員会が必要と認めた道路では、交通誘導警備業務検定の1級または2級の合格者を場所ごとに1人以上置く義務があります。それ以外の道路では法律上の配置義務はありませんが、現場の難易度によって有資格者を指定することはできます。
Q. 工事の何日前までに警備員を頼めばいいですか?
A. 着工の2週間前までを目安にしてください。工事が集中する秋から年度末は警備員の手配が取り合いになりやすく、直前だと必要な人数がそろわないことがあります。空きがあれば当日手配に応じられる会社もありますが、資格者の指定がある現場ほど直前の確保は難しくなるため、日程が決まった時点での相談がおすすめです。

まとめ

最後に、この記事の要点をもう一度だけ整理しておきます。

  • 「交通整備」で探しているものの正体は「交通誘導警備(2号警備)」。問い合わせではこの言葉を使う
  • 交通整理は警察官等だけの行為。警備員が行うのは強制力のない「交通誘導」
  • 費用は単価×人数×日数+割増。平日日勤で1人18,000〜25,000円が目安で、国の労務単価より高いのは経費が含まれていないから
  • 人数は車線・出入口・歩行者の3つで決まる。片側交互通行なら2人が出発点
  • 高速道路・自動車専用道路と公安委員会が認めた道路では資格者の配置が義務。迷ったら所轄の警察署か警備会社に確認する
  • 手配は着工の2週間前までが目安

ここまで分かっていれば、見積書が届いたときに「なぜこの人数なのか」「なぜこの単価なのか」を自分の言葉で確認できます。金額の内訳をもう一歩詳しく知りたい方は、交通誘導警備の料金相場と依頼の流れもあわせて読んでみてください。


執筆者

(ふるかわ ともゆき)
株式会社FAIRセキュリティ 副社長/警備業界15年
保有資格: 2号警備業務検定資格者 / 2号警備員指導教育責任者

運営会社

株式会社FAIRセキュリティ(株式会社FAIR 警備事業)
東京都公安委員会認定 第30004647号
対応エリア: 東京都・神奈川県は全域/埼玉県・千葉県の東京寄りエリア
対応業務: 施設警備・交通誘導・イベント警備
電話: 03-4560-1047(平日9:00〜18:00) / LINE: https://lin.ee/iAd3SEl


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  • 料金の目安: 交通誘導員1名・日勤 18,800円(税抜)〜(別途 交通費1,000円・税抜)/時期・現場条件により変動
  • 夜勤・残業の目安: 夜勤・日曜・祝日 23,500円(税抜)〜(交通費別)/残業は1時間3,000円(税抜)(日勤単価18,800円の場合)
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