交通誘導の警備員は、車や人が出入りする「開口部」1か所につき1名が基本の考え方です。
ただしこれはあくまで出発点です。実際には片側交互通行にするのか、歩行者の迂回路をつくるのか、警備員から見て見通しが効くのかで必要な人数は変わります。さらに、高速道路や公安委員会が指定した路線では検定に合格した警備員を1名以上置くことが法律で決まっています。この記事では、発注する側が自分の現場を思い浮かべながら人数を出せるように、順番に整理していきますね。
目次
この記事でわかること
読み終わるころには、見積もりを依頼する前に自分で当たりをつけられる状態になっているはずです。
- 交通誘導の警備員と、警察官の「交通整理」は何が違うのか
- 自分の現場に何人・どこに立ってもらえばいいかの決め方
- 費用の目安と、見積書で必ず見ておきたいところ
交通誘導の警備員とは?警察官の「交通整理」との違い
結論からいうと、交通誘導の警備員に法的な強制力はありません。ドライバーや歩行者に「お願い」をして、安全に通ってもらう仕事です。
「じゃあ意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。工事や搬入で普段と違う動線ができたとき、その場にいる人が状況を読んで先回りするからこそ事故が防げます。コーンやバリケードを置いて動線をつくり、車と歩行者がかち合わないように時間をずらす。この「先回り」が本体の仕事です。
一方、赤信号を無視して車を通すような、交通ルールそのものを一時的に上書きできるのは警察官だけです。ここが決定的な違いになります。だから警備員は、ルールを変えるのではなくルールの中で安全な順番をつくる役割だと考えるとしっくりきます。
何人必要?現場のかたちから決める考え方
人数は「工事の規模」ではなく開口部(車や人が出入りする口)の数から数えるのが一番ぶれません。ここを押さえると見積もりの比較もしやすくなります。
まず数えるのは「守る口」がいくつあるか
敷地の出入口が1か所なら1名、車両の出入口と歩行者の通路が別々にあるなら2名、というのが素直な数え方です。そのうえで、次に当てはまるものがあれば人数を足していきます。
- 片側交互通行にする:手前と奥の2名が最低ライン。合図を合わせる必要があるため1名では成立しません
- 警備員同士がお互いを見通せない:カーブや坂、資材の山で視界が切れる場合は、合図を中継する役をもう1名
- 歩行者の迂回路をつくる:車の誘導と兼務させない。歩行者側に1名
- 大型車が頻繁に出入りする:後方確認のために1名増やすと安全側に倒せます
よくある現場の目安
あくまで目安ですが、話の出発点としてはこのあたりから考えると噛み合いやすいです。
- 住宅の建て替え・小規模な改修(出入口1か所):1名
- 店舗の駐車場整理(入口と出口が別):2名
- 道路の掘削で片側交互通行:2〜3名(歩行者が多い道なら3名)
- 大型車の搬入がある建設現場:2〜4名
ここは法律で決まっています:高速自動車国道・自動車専用道路と、各都道府県の公安委員会が指定した路線(資格者配置路線)で交通誘導警備を行う場合は、警備業務を行う場所ごとに1級または2級の検定合格警備員を1名以上配置しなければなりません(警備業法第18条/警備員等の検定等に関する規則第2条)。東京都では平成30年10月1日から合計47路線が指定されています。
逆にいうと、指定路線でなければ有資格者の配置は義務ではありません。「どの道でも必ず有資格者が要る」と書かれている情報もありますが、正確には道路によって変わります。自分の現場が指定路線かどうかは、警備会社に住所を伝えれば調べてもらえます。
お急ぎの方は、現場条件に合わせた無料見積もりの相談もご利用ください。
費用の目安と、見積書で見ておきたいところ
相場は日勤8時間・1名あたり18,000〜25,000円前後が一つの目安です。ただし総額よりも、何が含まれていて何が含まれていないかのほうが後々効いてきます。
見積書で必ず見ておきたい5項目
- 時間の単位:8時間で1日なのか、最低保証は何時間か。半日だけ頼みたいときに差が出ます
- 延長したときの単価:1時間あたりいくらか。工事は延びるものだと思っておくと安全です
- 有資格者の加算:検定合格者を立てる場合に上乗せがあるか
- 深夜・早朝の割増:何時から割増になるか
- 中止・待機のときの扱い:次の章で詳しく触れます
金額だけを並べて一番安いところに決めると、当日「それは別料金です」となりがちです。同じ条件で並べられる見積書かどうかが、実は会社選びの一番わかりやすい物差しになります。
雨で中止・当日に人が足りない、をどう防ぐか
発注する側がいちばん揉めやすいのが、この2つです。どちらも契約する前のひと言でほとんど防げます。
雨天中止のときの費用
警備員は前日に現場が割り当てられ、当日は朝から移動しています。そのため直前の中止は費用が発生するのが一般的です。前日までの連絡なら無償、当日朝の連絡なら半日分、現場到着後なら1日分、といった段階を設けている会社が多くあります。
ここは会社ごとに考え方が違うところなので、「雨で中止になったらどうなりますか」と見積もりの段階で聞いて、書面に残しておくのが確実です。聞かれて嫌がる会社はまずありません。
当日の欠員を防ぐ備え
急な発熱や交通機関の乱れは、どうしても起こります。発注する側でできる備えは次の3つです。
- 着任時刻の前日確認を習慣にする(会社側の手配漏れもここで見つかります)
- 繁忙期(おおむね年度末や年末)は早めに押さえる。直前だと選択肢が減ります
- 1社に全部を預けず、急ぎのときに相談できる会社をもう1社知っておく
依頼するときに伝えるとスムーズな5点:①現場の住所 ②作業日と時間帯 ③現場のかたち(出入口の数・片側交互通行の有無) ④歩行者や通学路の有無 ⑤大型車の出入りの有無。この5つが揃っていると、人数の提案と見積もりがその場で返ってきやすくなります。
よくある質問
- Q. 交通誘導の警備員は必ず資格が必要ですか?
- A. いいえ、すべての現場で必要なわけではありません。高速自動車国道・自動車専用道路と、各都道府県の公安委員会が指定した路線では、その場所ごとに1級または2級の検定合格警備員を1名以上配置する義務があります。それ以外の道路や敷地内では、法定研修を修了した警備員であれば資格の有無は問われません。
- Q. 警備員に赤信号で車を止めてもらうことはできますか?
- A. できません。信号や交通ルールを一時的に変えられるのは警察官だけで、警備員の誘導はあくまでお願いという位置づけです。ただし、コーンやバリケードで動線をつくり、車と歩行者が同時に交差しないよう順番を整えることはできます。実務上はこの整理だけで多くの危険が避けられます。
- Q. 半日だけ、数時間だけ頼むことはできますか?
- A. 対応している会社は多いですが、最低保証時間が設けられているのが一般的です。たとえば4時間未満でも4時間分として計算する、といった形です。短時間で頼みたいときは、見積もりの段階で最低保証が何時間かを確認しておくと、当日の請求で驚かずに済みます。
- Q. 当日に急に頼むことはできますか?
- A. 空き状況によっては当日手配ができる場合もありますが、確実ではありません。特に年度末や年末の繁忙期は前日でも埋まっていることがあります。日程が読めない工事の場合は、仮押さえができるかどうかを先に相談しておくと、直前に慌てずに済みます。
- Q. 人数は警備会社に決めてもらえますか?
- A. はい、現場の住所と作業内容を伝えれば提案してもらえます。そのうえで、出入口がいくつあるか、片側交互通行にするか、歩行者の通行があるかを自分でも整理しておくと、提案が妥当かどうか判断できます。人数の根拠を説明してくれるかどうかは、会社を見極める材料にもなります。
まとめ
交通誘導の警備員の人数は、開口部の数を数えて、片側交互通行・見通し・歩行者の有無で足していく。これだけで、見積もりが妥当かどうかを自分で判断できるようになります。
- 基本は開口部1か所につき1名。片側交互通行なら最低2名
- 高速道路と公安委員会の指定路線では、場所ごとに検定合格警備員が1名以上必要
- 相場は日勤8時間・1名あたり18,000〜25,000円前後。延長単価と中止時の扱いを先に確認する
- 雨天中止の費用と当日の欠員は、契約前のひと言でほとんど防げる
なお、交通誘導の仕事に就く側の情報(研修の流れや資格の取り方)については、採用情報のページもあわせてご覧ください。
出典:警備業法第18条・警備員等の検定等に関する規則第2条(e-Gov法令検索)/指定路線については警視庁「警備業掲示板」、配置基準の解説は福岡県警察を参照。
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